ニットを着る季節になると、気になるのがわきや袖の内側にできる毛玉。お気に入りのセーターほど出番が増えて、ひと冬で毛玉だらけになってしまった、という経験がある人も多いはずです🧶
2026年秋冬は、「毛玉レス」「毛玉防止」をうたうニットも登場しています。ただ、「ウールは毛玉ができにくい」「アクリルは毛玉ができやすい」といった素材の名前だけで選ぶと、思っていたのと違った、となりがち。毛玉のできやすさは、素材だけでなく糸や編み方でも変わるからです。
この記事では、繊維製品の試験機関や業界団体、消費者庁の資料をもとに、毛玉ができにくいニットの選び方を「繊維・糸・編み」の3つの視点でまとめました。紹介する商品の価格は2026年10月18日時点の各社の公式情報によるもので、価格はすべて税込です。
毛玉ができる仕組みと、できにくいニットの見分け方
「できやすさ」と「残りやすさ」は別
毛玉は、着ているあいだのこすれで表面の繊維が毛羽立ち、その毛羽同士が絡み合って丸くなることでできます。ボーケン品質評価機構の解説では、この「毛羽立ち→絡み→毛玉」の流れが説明されています。
注目したいのは、毛玉には「できやすさ」と「残りやすさ」の2つがあること。同じ解説によると、天然繊維の毛玉は脱落しやすく、ポリエステルやアクリルなど強い繊維の毛玉は落ちずに残りやすいとされています。ニッセンケン品質評価センターの解説でも、ポリエステル混の生地は毛玉が残りやすいと紹介されています。
つまり「ウールは毛玉ができない」のではなく、「ウールの毛玉はできても落ちやすい」というのが正確なところ。加工や素材は毛玉を減らす工夫であって、毛玉がゼロになるわけではない、と知っておくと選び方の見方が変わります。
毛玉ができにくいかは「繊維・糸・編み」の3つで決まる
ウールマーク認証を手がけるザ・ウールマーク・カンパニーの仕様書では、毛玉に影響する要因として、繊維の太さ、繊維の長さ、糸の撚り、生地の構造が挙げられています。MARUMIE編集部では、これを「繊維・糸・編み」の3つに整理しました。
- 繊維:繊維の長さや太さが毛玉のできやすさにかかわる。強い繊維は、毛玉ができると落ちにくい
- 糸:撚り(より)が強い糸ほど毛羽が出にくい。甘撚りのふんわりした糸は毛玉ができやすい
- 編み:密度の高い、目が詰まった編み地ほど毛玉ができにくい。目の粗い編み地は毛玉ができやすい傾向
ニッセンケン品質評価センターによると、短い繊維を紡いだ糸、特に撚りの甘い糸は毛玉が起きやすく、織物より編物のほうが毛玉ができやすいとされています。ニットはそもそも毛玉ができやすい生地なので、3つのうち何で毛玉を防いでいるのかを見ると、選ぶ基準がはっきりします。

素材別の特徴:ウール・カシミヤ・アクリル・混紡
ウール(メリノ)
ウールは、表面がうろこ状のスケールに覆われた繊維です。ザ・ウールマーク・カンパニーの解説によると、メリノウールの繊維の太さはおよそ17.5マイクロン未満から22〜24マイクロンまであり、19.5マイクロン以下の細いものは肌に直接触れる服に向くとされています。毛玉はできても脱落しやすい素材です。
カシミヤ
カシミヤは、カシミヤ山羊のうぶ毛からとれる繊維です。業界団体のCCMI(カシミヤ・キャメルヘア製造業者協会)は、平均の太さが19マイクロン以下であることなどを、カシミヤの定義として紹介しています。天然繊維なので、毛玉ができても落ちやすい素材です。
アクリル
日本化学繊維協会によると、アクリルは合成繊維の中で最も羊毛に近い風合いを持ち、かさ高さや発色のよさが特徴です。強い繊維なので、毛玉ができると落ちにくく残りやすくなります。「抗ピル」「アンチピリング」などの加工がされたものを選ぶのがおすすめです。
混紡
ウールにナイロンやポリエステルなどの合成繊維を混ぜた混紡は、強い合成繊維が混ざるぶん、毛玉が落ちずに残りやすくなります。混紡のニットは、商品説明に毛玉への工夫が書かれているかを確かめると安心です。
MARUMIEの色彩視点:毛羽と毛玉は「色の見え方」も変える
毛玉が気になるのは、手ざわりだけでなく見た目が古びて見えるから。摩擦で傷んだ布の見え方を調べた論文(繊維製品消費科学、2012年)では、こすれて傷んだ布は「毛羽」や「色あせ」の印象が強まり、色の差がΔE*ab 1.5以上になると傷みとして認識されると報告されています。
この研究は傷んだ布ともとの布の色の差を比べたものですが、MARUMIE編集部はここから「毛羽や毛玉が出ても色の差が小さく見える色を選ぶ」という考え方を提案します。編集部のおすすめは次のとおりです。
- 毛玉が気になる人は、真っ白や真っ黒より、グレーやベージュなどの中間色を選ぶ
- 複数の色が混ざった杢(もく)のニットを選ぶ
- 濃い色のニットは、明るい色のバッグやコートとこすれる組み合わせを避ける
色の感じ方には個人差がありますが、着る回数が多い1枚ほど、色選びで長くきれいに見せる工夫ができます。今季のトレンドカラーは2026秋冬トレンド レディースで紹介しています。
MARUMIE的に選ぶ基準は3つ
1. 商品説明の「ピリング◯級」を見る
毛玉のできにくさは、JIS L 1076というピリング試験の方法で調べられます。カケンテストセンターの解説によると、ニットなどの編物はゴム管に巻いた試験片を回転する箱の中で5時間こすり、判定用の写真と比べて1〜5級で判定します。数字が大きいほど毛玉ができにくく、一般的な目安は3級以上です。商品説明に「ピリング◯級」と書かれていたら、この数字を目安にできます。
2. 組成表示は「%」と「毛」の書き方を見る
消費者庁の家庭用品品質表示法の解説によると、羊毛は「毛」「ウール」などと表示でき、カシミヤは「毛」「カシミヤ」と表示されます。つまり「毛100%」と書かれていても、羊毛とは限りません。また混用率の表示には許容差があり、毛の100%表示はマイナス3%まで認められています。アクリルやポリエステルが何%入っているかを見ると、毛玉が残りやすいかの見当がつきます。
3. 洗濯表示で「家で洗えるか」を見る
毛玉は、洗濯中のこすれでもできます。家で洗いたいなら、消費者庁の洗濯表示の解説を参考に、洗濯おけの記号を確認しましょう。家で洗えるニットなら、ネットに入れて手入れしやすく、長く清潔に着られます。
毛玉ができにくいニットおすすめ5選
ここからは、2026年秋冬に買える、毛玉への工夫が公式に書かれたニットを価格帯別に紹介します。在庫の状況は変わることがあるので、購入前に各公式サイトで確認してください。
4,000円以下
無印良品 婦人 洗えるウールハイゲージクルーネックセーター
無印良品 婦人 洗えるウールハイゲージクルーネックセーターは、3,990円。糸の毛羽を抑える紡ぎ方をした細い糸を、目の詰まったハイゲージで編んでいます。防縮加工で洗濯機洗いができ、カラーは7色です。糸と編みで工夫したタイプです。
Green Parks ここちクルーネックニットプルオーバー

Green Parks ここちクルーネックニットプルオーバーは、3,990円。プレスリリースによると、2026年10月上旬から順次発売される「ここちKNIT」シリーズの1枚で、シリーズの機能に毛玉防止が挙げられています。組成はレーヨン54%・ナイロン25%・ポリエステル21%で、カラーは7色です。
4,000〜10,000円
Green Parks ここち配色リングドットカーディガン
Green Parks ここち配色リングドットカーディガンは、4,990円。同じ「ここちKNIT」シリーズのカーディガンで、組成はレーヨン50%・ナイロン30%・ポリエステル20%、カラーは4色です。羽織りとして使うなら、こすれやすい袖口をこまめにブラッシングするのがおすすめです。
SHOO・LA・RUE Vネックゆったりカーディガン
SHOO・LA・RUE Vネックゆったりカーディガンは、4,499円。商品ページで、お手入れしやすく毛玉になりにくい素材を使っていると説明されている1枚です。組成はポリエステル43%・ナイロン31%・アクリル21%・毛5%で、家で洗濯でき、カラーは8色。素材で工夫したタイプです。
10,000円以上
nano universe 毛玉レスニット バイカラーフリルリブニット
nano universe 毛玉レスニット バイカラーフリルリブニットは、13,200円。「毛玉レスニット」シリーズの2026年秋冬の1枚で、厳選したエクストラファインメリノを使い、毛100%でも毛玉になりにくく仕上げています。手洗いができるウォッシャブル仕様で、カラーはブラック、オフホワイト、ラベンダーの3色です。
毛玉を防ぐお手入れのコツ
柔軟剤は使いすぎない
ふんわり仕上げたくて柔軟剤を入れたくなりますが、ニッセンケン品質評価センターによると、柔軟剤の多用は毛玉ができやすくなる原因になるとされています。ザ・ウールマーク・カンパニーも、ウールのニットには柔軟剤を使わないよう案内しています。
裏返して、こすれを減らす
同じくザ・ウールマーク・カンパニーは、ニットを裏返して洗うこと、着るときのこすれを減らすことを毛玉を防ぐ方法として挙げています。ショルダーバッグのベルトが当たる位置や、わき・袖の内側は特にこすれやすい場所。部屋の乾燥が気になる季節は、秋の部屋の乾燥対策もあわせて見直してみてください❄️
できた毛玉は専用の道具で取る
できてしまった毛玉は、毛玉取り用のコームや電動の毛玉取り器で取りましょう。手で引っぱってむしり取るのは避けて、道具を使ってやさしく取り除くのがおすすめです。
よくある質問
毛玉ができにくいニットの素材は?
素材だけで決まるわけではありませんが、ウールやカシミヤなどの天然繊維は、毛玉ができても落ちやすい素材です。さらに、撚りの強い糸を使い、目の詰まった編み地のものを選ぶと、毛玉ができにくくなります。
アクリルのニットは毛玉ができやすい?
アクリルは強い繊維なので、毛玉ができると落ちにくく残りやすい素材です。「抗ピル」「アンチピリング」の加工がされたものを選ぶと、毛玉への工夫がされています。
カシミヤは毛玉ができにくい?
カシミヤも天然繊維なので、毛玉ができても落ちやすい素材です。ただし毛玉そのものはできるので、こすれやすい場所はこまめにブラッシングして整えましょう。
「ピリング3級」はどのくらい?
JIS L 1076の判定は1〜5級で、数字が大きいほど毛玉ができにくいことを表します。一般的な目安は3級以上なので、3級なら標準的なレベルといえます。
まとめ
- 毛玉は「できやすさ」と「残りやすさ」が別。天然繊維の毛玉は落ちやすく、合成繊維の毛玉は残りやすい
- 毛玉ができにくいニットは、繊維の長さ・糸の撚り・編みの密度の3つで見分ける
- 商品説明のピリングの級、組成表示の%、洗濯表示をセットで確認する
今季のニットコーデは、MARUMIEのニュースで紹介したLILY BROWNの冬の新作や、ururuのカーディガンもチェックしてみてください🍂

